太陽電池の実用知識

発電量の計算

さて、いよいよ発電量の計算です。ここでは、とりあえずNEDOのデータを利用します。グラフでは具体的な数値はわかりにくいので、数字データを取得します。グラフの右側の下にある「データ一覧表を表示」と書かれているオレンジ色のバナーをクリックします。すると、月平均斜面日射量と題する表が表示されます。これが、先ほどのグラフの元になるデータです。
ここから、自分の太陽電池に必要なデータを抜き出します。それには、方位角と傾斜角の値が必要です。すなわち、太陽電池がどちらの方角を向いているのか、そして地面に対してどんな傾斜で設置されているのかです。
管理人の場合(駐車場置きの場合)は、真南ですので方位角は0°、傾斜角は10°です。
NEDOのデータはその月の平均日射量が1日分として表わされています。単位は、Kwh/m2・日となっています。すなわち、1m四方当たり一日に何Kwhのエネルギーが照射されたかということを表しています。日射強度の単位は前述したようにkw/m2ですが、これに時間のファクター、すなわち照射時間を掛けた1日の積算値となっています。この数値に、設置した太陽電池の出力(kw)を掛ければ1日の発電量が出ます。月単位の発電量を求めるには、さらにその月の日数を掛ければいいことになります。すなわち、月毎の発電量は以下の式で求められます。
月毎の発電量(Kwh)=平均日射量(Kwh/m2・日)×日数×電池出力(kw)
これはある意味、理想の発電量です。実際には温度による損失(ロス)とその他の損失などがあり、発電量は公称最大出力(カタログ等に記載されている数値)より低くなるのが通常です。すなわち、上記の式に一定の補正係数を掛ける必要があります。一般的には平均して公称出力の0.8掛けが実際の容量といわれていますが、より詳しくは別項の「補正係数とは」をご覧ください。
管理人の場合、これらを表にすると、以下のようになります。数値は、1月~7月までが平成26年、10月から12月が平成25年のものです。太陽電池の設置は平成25年9月下旬ですので、8月と9月は空欄としています。

平均日射量日数発電容量発電量1補正係数発電量2実発電量割合1割合2
1月3.12315.825563.40.85478.9368.265%77%
2月3.64285.825593.70.85504.6436.173%86%
3月3.88315.825700.60.82574.5701.8100%122%
4月4.45305.825777.60.82637.7820.7106%129%
5月4.65315.825839.70.82688.5896.0107%130%
6月4.07305.825711.20.80569.0667.294%117%
7月4.24315.825765.60.80612.5776.1101%127%
8月4.51315.825814.40.80651.5
9月3.42305.825597.60.82490.1
10月3.01315.825543.50.82445.7425.578%95%
11月2.74305.825478.80.82392.6292.761%75%
12月2.70315.825487.60.85414.4243.950%59%
合計3657873.86460.05628.271%87%

<脚注>
発電量1:補正係数を用いないで、上記の式に基づいて計算した理想発電量です。
発電量2:補正係数を考慮して計算した発電量です。
補正係数:カタログに基づいた係数を記載しています(別項の説明参照)。
実発電量:実際の発電量です。このサイトの「発電状況」に記載されている数値です。
割合1:発電量1に対する実発電量の割合です。
割合2:発電量2に対する実発電量の割合です。

 

これをグラフ化すると、以下のようになります。グラフには、発電量1および2に加え、一般の補正係数に基づいた発電量(発電量3)も参考までにプロットしています。
発電量2

表やグラフからわかることは、3月以降7月までわが太陽電池は理想発電量(発電量1)並もしくはそれを上回る発電をしているということです。10月は補正係数を掛けた発電量(発電量2)並の発電をしています。しかし、11月~2月、特に冬至のある12月は発電量がかなり落ちています。実はこれは、樹木の陰の影響です。太陽電池を設置した場所の南側の6m道路を隔てた敷地に大きなけやきの木(道路から数m離れています)があります。10月頃までは気にしなかったのですが、冬が近づくにつれ、樹木の陰がパネルにかかるようになりました。太陽の高度が予想以上(単なる思い違いですが)に低くなって、12月には横に連携されたパネルの上から下まで(ただし、端のパネルのみ)陰がかかるようになりました。ご存知のようにシリコン系太陽電池は1つのパネルに陰があると、それに連携されているすべてのパネルの発電量が影響を受けてしまいます。このため、陰のかかる時間帯には、すべてのパネルの発電量が極端に下がってしまったというわけです。よって、1日の発電量もかなり下がってしまいました。これが大きく影響しています。しかし、全体でみるとまだ8月、9月のデータが未入力とはいえ、年間の発電量はすでに発電量2の90%近くとなっており、想定以上の発電量が得られているということが言えます。今年(H26年)は天候が良かったのか、太陽電池の性能がいいのかは、このグラフからはわかりません。ただ、わが太陽電池は夏場も暑さに負けずに元気に発電していることがわかります。

補正係数とは

ここでは、補正係数について説明します。
その前に前項の式を見て、おかしいなと思った方がいらっしゃるかもしれません。そうなんです。単位が合わないのです。もう一度式を見てみましょう。
月毎の発電量(Kwh)=平均日射量(Kwh/m2・日)×日数(日)×発電容量(kw)
右辺を計算すると、単位はKwh・kw/m2となり、左辺とは合いません。kw/m2がよけいです。kw/m2といえば、日射強度の単位です。そこで、よく考えてみると、最初に書いたように基準日射強度が1kw/m2であることに気が付きました。つまり、こういうことではないでしょうか。
平均日射量のデータはKwh/m2・日で示され、前述したように1日当たりの積算値となっています。1日のうちには、日射強度が0.8のときもあれば、0.5、0.1、あるいは0の時もあります。これらをすべて積算した値が1日の日射量です。ということは、これを基準日射強度1kw/m2で割れば、1日当たり基準日射強度で太陽が照り続けたと仮定した時間を表していることになります。つまり、Kwh/m2をkw/m2で割れば、h(時間)が残ります。これに発電容量のkwを掛ければ、左辺のKwhとピタリ一致します。
以上のことから、上記の式は正確には以下のように表わすことになるのではないでしょうか。
月毎の発電量(Kwh)=平均日射量(Kwh/m2・日)÷1(kw/m2)×日数(日)×発電容量(kw)
基準日照強度の数値が1なので計算結果には影響しないのです。これについて、きちんと説明しているサイトが見当たらなかったため、ちょっと書いてみました。

さて、補正係数ですが、一般に太陽電池の公称最大出力(kw)、すなわち、カタログ等に掲載されている出力は、JIS規格に基づいて測定されたものです。車の燃費と同じで、実際にはその通りの出力は得られないのが普通です。すなわち、太陽電池にはいろいろな損失(ロス)があり、発電量が減少する傾向があります。一番大きいのが温度による影響ですが、太陽電池に影響を与えるのは、外気温と発電による発熱です。発電による発熱は仕方がないとして、より影響が大きいのは外気温です。ちなみに、JISでは25°で測定しています。
温度による発電ロスは季節によって変動し、夏場は外気温が高くなるので太陽電池の表面温度が高くなり、発電効率は低下しますが、冬場は外気温が低いので発熱が相殺され表面は比較的低い温度に維持されます。なら、冬場は太陽電池にとって最適な季節かというと、残念ながら肝心の日射量が少ないため発電量は上がりません。うまくいかないものです。
太陽電池のロスに与えるものとしては、そのほかに、配線、回路、受光面の汚れ、パワーコンディショナーの変換効率などがあります。
では、どれくらいのロスがあるのか。一般的には単結晶系の太陽電池の場合は、以下のように記載されていることが多いようです。
温度によるロス:12月~3月 10%、4月~5月および10月~11月 15%、6月~9月 20%
その他のロス:年間を通じて、15%
これらを掛け合わせた0.68~0.77が総合補正係数として年間予想発電量の計算に使われています。

なお、補正係数に関する詳しい数値は、各メーカーが公表していますので、カタログやホームページ等で確認してください。
管理人が設置した太陽電池のロスはカタログによると以下の通りです。上記で紹介した一般的な単結晶の太陽電池の数値よりかなり小さくなっています。前項の表では、これらを掛け合わせたものを総合補正係数として用いています。また、参考までに、上のグラフには一般的な数値(0.68~0.77)による発電量の推定値(黒点線)も掲載しています。
温度によるロス(温度補正係数)
12月~2月:5.8%
3月~5月、9月~11月:8.7%
6月~8月:11.6%
パワーコンディショナーによるロス:5%
その他のロス(配線・回路ロス、受光面の汚れなど):5%

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